本牧緑ヶ丘町内会

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報告:「ネット詐欺予防講座」(2024年7月7日)

「ネット詐欺予防講座」報告

   偽サイトを見破るポイントはここ!

 

                         消費生活推進員 根本正一

 

 本牧地区を中心とする横浜市消費生活推進員で構成する中区消費生活推進員第4地区南部は7月7日、上台集会所(本郷町2丁目)にて「ネット詐欺から身を守るには……~安心してネットショッピングを楽しもう~」をテーマにネット詐欺予防講座を開催しました。昨年11月には訪問販売など悪質商法全般について講座を設けましたが、このところ急増しているのがスマホやPCを利用したネット詐欺。突然のメールや警告でパニックになって図らずもお金を振り込んで被害に遭う、そんな手口が増えています。その手口はかなり巧妙で、普通にネットショッピングを楽しんではいても、なかなか気づかないままにその罠にはまってしまうという危険がいっぱいです。

今回の講座では、消費生活アドバイザーの森英樹氏を招き、その巧妙な手口を細かく解説してもらうとともに、ではその巧妙な手口を見破る秘訣はどこにあるのか指南いただきました。クイズや動画、シミュレーションサイトによる疑似体験も交え、参加者からの質問も多く、盛況のうちに終えた当講座のエキスをここに報告します。

 

 

■いつでも消費生活センターに相談を

全国の都道府県には消費生活センターがあり(市区町村は努力義務)、国家資格を持つ消費生活相談員があくまで中立な立場で消費者と事業者の間のトラブルを解決する業務等を行っています。これを束ねるのが国民生活センター。同センターのまとめでは、全国の消費生活センターに寄せられた消費者トラブルの相談件数はここ10年、90万件前後で推移しています。1分間で2件の計算となります。

 国民生活センターは常に最新の情報を集めており、森氏は同センターのHPを確認することを勧めます。そして、気になったら遠慮なく消費生活センターに電話すること(友人は正しい情報を持っていない場合が多く、相談は避けた方がいい)。消費生活センターへは、電話番号188に加え、自宅の郵便番号を押せば、管轄の消費生活センターにつながります。営業時間は平日の日中。

 

■ネット詐欺の手口と対処法

 悪質商法のなかでも、ネット詐欺はその被害金額が格段に大きいと言います。気がつかないままに被害が数百万円単位に上り、退職金や老後の資金が根こそぎ取られるケースもままあります。

 講座ではネット詐欺を代表する架空請求と投資詐欺について、その巧妙な手口とその対処法を学びました。

架空請求

1、身に覚えのない料金請求が来る

 事例:スマホ(SMS、PC、葉書・封書もあり)に突然、「有料会員になったのに、お金を払っていない。今すぐ連絡しなければ、法的手続きに出る」。身に覚えがないものの、慌てて電話すると「コンビニで5万円のプリペイドカードを買って。その暗証番号を教えてくれたら、告訴は取り下げる」。これで、お金をだまし取られる。それが一回で済まずに、「裁判所へ出す書類の費用があと5万円かかる」などと、被害が10万~20万円へと膨らむ羽目に。

 対処法:決して電話しないこと。裁判を起こすなどの脅し文句が書かれていても、無視して大丈夫。

2、宅配業者をかたる不正請求

 事例:スマホのSMSに「荷物を届けに上がったが、不在だったのでここをクリックして」。指示に従って、WEBサイトに住所やクレジットカード番号など個人情報を書き込んでしまう。実は、宅配業者を装った詐欺で、個人情報を盗み取られてしまう。WEBサイトも実在の宅配業者そっくりだから気づかない。

 対処法:URLは押さない。その前に本当の宅配業者に電話で確認を!

3、スマホ(PC)に強烈な音とともに突然表示される警告

 事例:「貴方のスマホがコンピュータウイルスに感染した。すぐに連絡を!」との画面表示。強烈な音が鳴りやまず、近所迷惑を鑑みて慌てて電話。片言の日本語で修理と称してリモートのアプリに誘導させられ、コンビニで5万円のプリペイドカード購入を求められる。世界的IT業者をかたる偽の業者で、プリペイドカードの暗証番号を教えてお金をだまし取られたうえ、偽のリモートサイトを通じて個人情報も盗み取られることに。

 対処法:絶対に電話しない。轟音は放っておいても構わないが、音を消すにはプラグを抜くなど電源を落とす。それでも近所に迷惑がかかるほど鳴り続けるなら、布団とか被せましょう。そのうちに電池切れとなって、音が消えます。

⇒ウイルスに侵されている心配があるなら、情報セキュリティ相談窓口である(独)情報処理推進機構(略称:IPA)にメールか電話をすれば、PC・スマホの初期化の方法を教えてくれます。

※以上の3点について、万が一お金を払ってしまった場合は、即座にクレジットカード会社やプリペイドカード会社に電話すること。スピードが勝負! 被害を大きくしないためには、クレジットカードの支払い額や銀行口座の引き出し額など一回の上限を設定しておくのが賢明です。

詐欺に引っかかってお金を支払ってしまった場合、クレジットカード会社なら電話すれば、調査したうえでカード会社を通じてお金は戻ってくるケースも多く見受けられます。偽業者が行方不明になっていても、信用取引を旨とするカード会社が代替わりしてくれることになっています。ただ、デビットカードは即座に口座から引き落とされるから、お金は取り戻せないので要注意。

 

 

▼投資詐欺

 事例:著名人や投資家をかたるバナー広告を通じて投資に誘われる――そうしたSMSを使った投資詐欺は昨年から急増、今年1~3月で被害は全国で1700件、被害金額は219億3000万円に。横浜市では8億円をだまし取られたケースも。

 この投資詐欺の手口について、森氏は事例を挙げながら4つのステップを指摘します。

1、ステップ1:ネット広告やメールをクリック、ネット上の投資勉強会に参加

 信頼する著名人が、「必ず儲かる」と呼びかける

 ⇒「必ず儲かる」という広告文句は法律で禁じられている

2、ステップ2:登録すると、LINEに誘導される

 個人LINEのIDを教えてくれたり、グループLINEへの参加を求めたりする

 ⇒個人的なLINEやグループLINEへの誘導は詐欺と思っていい(LINEは無法地帯)。

グループLINEはサクラ、おとり

3、ステップ3:「試しに株を5万円買ってみては」などと持ちかけられる

 翌日には株価が4、5倍に跳ね上がっているグラフを見せられる。信用して100万円、200万円とつぎ込んでしまう。グループLINEでもフィーバーして、その翌日にもまた2、3倍に跳ね上がる

 ⇒実は、グラフは偽物。株価は実際には跳ね上がっていない

4、ステップ4:利益が1000万円にもなったので、引き出そうとしたら引き出せない

 「先に税金を払う必要がある」などと200万円を支払う。それでも引き出せないままに、そのうち音信不通に。投資額に加え、偽の税金まで取られてしまう。ここまできて、詐欺に引っかかったとようやく気づく

 ⇒先に税金を支払うことはあり得ない

※「ステップ2までに詐欺と気づくことが大切」(森氏)。投資事業者は金融庁に登録しなければならず、きちんと業者が登録されているかどうか金融庁のHPで確認する意識が必要と言います。

 

【ネットショッピングで確認すべきこと】

 詐欺防止のために法律が強化され、事業者に次の2点を詳しく書くよう義務化されました。詐欺サイトはこの2点について記載がなかったり、書いてあっても内容が不十分であったり、虚偽であったりします。森氏は、注文ボタンを押す前にこの2点をチェックすることを求めています。

特定商取引法に基づく表示

 販売事業者名や運営統括責任者、所在地などを記載。電話番号の記載がない場合は要注意! 銀行振り込み前払いしか支払いさせてもらえない場合は、注文を避ける。返品の可否などについてもチェックしておく必要あり

・注文時の最終確認画面

 定期購入になっていないか、支払い総額はいくらになるか(お試し価格に騙されないよう)、支払い方法の確認、解約の条件と方法、返金・返品のルール――などをチェックしておく必要あり

 注文する際は、この注文最終確認画面を写真撮影(スクリーンショット)して保存しておくこと。消費生活センターなどに連絡した場合の証拠となるから(注文確定ボタンを押すと、その画面が消えてしまう)。アンドロイド端末とアイフォン端末とでは、その方法が違う

・アンドロイド端末――「音量下げるボタン」と「電源ボタン」を同時に押す

・アイフォン端末――ホームボタンがない機種は、「サイドボタン」と「+ボタン」を同時に押して離す。ホームボタンがある機種は、「ホームボタン」と「+ボタン」を同時に押して離す

 森氏の所属する公益社団法人日本消費生活アドバイザーコンサルタント・相談員協会(NACS)は、「危ないサイトを見破る体験サイト」と称したシミュレーションサイトを公開しています(シミュレーションサイトなので、お金を取られることも、個人情報が残ることもない)。講座では、これを利用して偽サイトを見破るポイントを紹介してもらいました。

〈怪しいポイントはここ!〉

・「90%OFF価格」といった激安広告

・「在庫5点のみ」といったあおり広告

・銀行振り込み前払いでしか支払い方法がない

・著名人が推奨する動画がある(今や生成AIで簡単に本物そっくりの動画が作れる)

・メルアドの会社名のスペルが一文字だけ違う(ex. 「au」→「auo」)

・奇妙な日本語が使われている。中国の文字が入っていたりする(偽サイトは海外で作られ、翻訳機を通して訳されていることが多い)

・銀行振込口座の名義が個人名になっている。名義が外国人の名前のことも

※こうした偽サイトに誘導されてお金を振り込んでも、2、3日しても商品は来ず。メールを出すと、「輸入品なので税関で引っ掛かっている。2週間ほどかかる」などとの返信。2週間待っても来ないので、またメールを出しても返信なし。相手はお金だけ着服して、逃げてしまっている。

 

このシミュレーションサイトに関しては、自宅に帰って再度、試すことを勧められました。

 

NACSサイト疑似体験

 

QRコードの読み取り方

スマホのカメラを立ち上げてから、

・アンドロイド端末――ピントが合えば自動的に読み取る

・アイフォン端末――ピントが合えば出て来る黄色い画面を押す

 

【講座の結論】

  • 少しでも怪しいと思ったら、
  • 電話するように誘導されても、決して電話しない。URLは押さない
  • 支払いを要求されても、決して払わない

 

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