本牧緑ヶ丘町内会

本牧緑ヶ丘町内会の広報・意見交換の場です。

報告:悪質商法撃退講座(11/26開催)

悪質商法撃退講座」報告

  高齢者を消費者トラブルから守るために、個人・地域でできること

 

                         消費生活推進員 根本正一

 

 本牧地区を中心とする横浜市消費生活推進員で構成する中区消費生活推進員第4地区南部は先月11月26日、上台集会所(本郷町2丁目)にて「悪質商法撃退講座」を開催しました。我が本牧緑ヶ丘町内会でも、工事業者が突然訪れて「お宅の屋根が壊れかけている。無料で見てあげましょう」と持ち掛ける事例が増えているようです。そうした手口による悪質商法が手を変え、品を変えて広がっています。そうした悪質商法の最新の状況を知り、いかに被害を防ぐかその対処法を学びました。

 

 今回の講師は、消費生活関連の諸々の相談活動を手掛け、メディアでも活躍されている消費生活アドバイザーの池見浩氏。参加者は我が町内会を含めて30人。スマートフォンなど電子機器の普及とともに近年では若者をターゲットとした悪質商法も問題となっていますが、今回の講座では悪質商法の被害者の中心である高齢者世代に照準を合わせて講義をしてもらいました。講座を通じて、高齢者の消費者トラブルを未然に防ぐには、地域挙げての見守りが必要であることを学びました。

 

上台集会所での講座風景

 

■業者は知識・情報・交渉力に一日の長

 池見氏はまず、「消費者トラブルは詐欺に直結するものではない」と注意を喚起します。詐欺となれば犯罪そのものですが、そこまでいかなくとも契約上の瑕疵というのは幾らでもあります。そこには、「事業者と消費者の間には知識・情報・交渉力の点で格差があり、それがトラブル発生の元となっているケースが多い」と言います。悪質商法と呼べるものは特定商取引法で定義されていますが、業者も法の網を上手く潜り抜けようと知恵を絞るので単なる契約上のトラブルを含めた心構えが必要です。講座では「騙されやすさ」の心理チェックテストも試みられ、例え騙されても気づかない、トラブルを一人で抱え込んでしまう――そんなタイプもいるようです。

 

 高齢者が悪質商法に引っかかりやすいのは、「高齢者の不安の3K」があるから。つまり、「健康」「金」「孤独」です。

その不安につけ込んで、悪徳業者は優しい言葉で忍び寄ってきます。横浜市消費生活総合センターに寄せられた中区住民からの相談件数は、令和4年度で568件。その32%が60歳以上という。横浜市全体の相談件数を商品・役務別にみると、50歳代、60歳代、70歳代においては全て1位が化粧品、2位が商品一般、3位が工事・建築の順。

 

■高齢者に多い消費者トラブルの事例

次に、高齢者に多い消費者トラブルの事例を幾つか挙げてもらいました。

 

1、通信販売の定期購入

「初回限定価格〇〇円」を見て注文し、商品は届くものの、暫くして2回目の商品が届く。それが高額で、しかも大量に。解約・返品しようと電話をかけても繋がらなかったり、業者に「規約に書いてある」と断られたり。

※毛髪剤や皺改善クリームなどで目立つ。消費者、特にシニア層は契約内容をよく読んでいない。

2、不用品の買い取り(押し買い)

「何か不用品はありませんか」と電話がきて、期日に業者が来るが、売ろうとしていたものは「価値がない」と言われ、結局、貴金属を二束三文で買い取られる。

※鑑定士を名乗る者を連れて来るなど、劇場型を装う。

3、点検リフォーム商法

「通りがかりに、屋根の不具合が見えた。無料で点検してあげよう」などと業者が突然に訪問して持ち掛け、「このままでは大変なことになる」と不安を煽り、高額な工事契約をさせられる。工事そのものも杜撰で、不必要な場合も。

※「火災保険で修理ができる」との誘いも、保険金を全額取られたりで要注意!

4、催眠商法

空き店舗に突然、期間限定の店が開店し、「パン2斤100円!!」など破格のチラシで集客。閉鎖的な店内で、高額商品まで買わせようと誘導する。

※店員の優しい接客態度に、孤独な高齢者などは心を奪われがち。

 

クーリング・オフ制度をきちんと理解しよう

次に、契約後にそれを解除できるクーリング・オフ制度について、クイズを交えて学びました。通信販売に関しては、返品に関する記載がない限り、店舗での販売と同様に原則としてクーリング・オフの対象とはならない点は要注意。利用規約をよく読む必要があります。そして、訪問販売で契約した場合のクーリング・オフ期間は、契約書面を受け取った日を含めて8日間です。

 また、クーリング・オフは葉書等の書面で通知するのが原則で、その際の注意点は次の通り。

・解約する理由は一切不要

・必ず両面コピーして控えを残す

・郵便局窓口に行く(ポスト投函はダメ)

特定記録郵便にする。追跡番号の控えは葉書のコピーにホッチキス止めして5年間保管する(時効が成立するまで)

※令和4年6月施行の改正特定商取引法により、電子メール等電磁的記録による通知も可能になったが、できるだけ葉書での通知が望ましい。

 

■まずは相談、地域での見守りを

 当講座では、少人数のグループに分かれて、実際にそうした悪質商法に出遭った場合にどうするかを討議してもらいました。具体的には、点検リフォーム商法や催眠商法で自分がつい契約してしまったとして、その時の自分の心理はどのようなものであったか、また家族や隣近所の知り合いが契約してとしたらどうするか。

 そこで明らかになった点は次の通りです。

 

▼消費者トラブルは、誰にも起きる可能性がある。「騙された方が悪い」というのは間違い。被害回復を図ることは、次の被害を防ぐ社会貢献となる。

▼そのために、公的な相談窓口も含めて積極的に話し合い、情報を共有する環境づくりが必要。近所の家庭でいつもと違う状況が生まれていることに気づき合う、地域全体で高齢者の消費者トラブルを防ぐ見守りが求められる。

 

■高齢者見守りのポイント:

1、気づき

2、声掛け

3、繋ぎ(連携)

 

■消費者トラブルの相談先

横浜市消費生活総合センター:(045)845-6666

消費生活センターはあくまで交渉の橋渡し役であって、事業者と消費者の和解による合意を目指す。強制・命令・指導権限はないため、弁護士のような代理人業務はせず。相談者が自分で解決できるようアドバイスする。

※消費者ホットライン:局番なし188(いやや)に電話すれば、近くの消費生活センターに接続される。

・市内各所にある地域ケアプラザでも、市消費生活総合センター等相談窓口への取次ぎを行っている。

※近隣では、本牧原地域ケアプラザ(代表:045-623-0971)、本牧和田地域ケアプラザ(代表:045-622-1211)。

 

■「詐欺・トラブルから身を守る3か条」

その1:電話は常に留守電、玄関は開けない

その2:突然の電話・訪問は、相手の話を聞かずにきっぱり断る

※お断りの言葉:「いりません!」「お断りします!」「帰ってく ださい!」

その3:渡す・出かける・受取る前にまず相談